父が癌で亡くなって、初めてうまくいきそうだった恋愛も失恋に終わって、様々なストレスが原因で十二指腸潰瘍になって、立つのも座るのも眠るのも呼吸するのさえ常に体が痛かった時。
それでも仕事は休めずに働いていたんだけど、あんまりの顔色の悪さに常連のお母さんが心配してくれた。
最初はレジが終わって「ありがとうございましたー」で帰るかと思ったんだが、数分後戻って来た。
何かミスったかとビクビクしていたら、ぎゅっと両手を握って「これどうぞ」って笑顔で野菜ジュースくれたんだ。
紙パックの小さいやつで、今会計してきたってわかる店のテープついた状態で。
そのお母さんの笑顔も、握ってくれた手の温かさも、こんな私に気を遣ってくれた事も何もかもが嬉しくて、その人が去った後に泣きまくった。
賞味期限が切れるギリギリまで飲まないで、お守りみたいに冷蔵庫開けて眺めてたよ。
飲んだ後も捨てられなくて洗って今でも部屋にある。
こんなお母さんみたいに優しくなりたいと思った。
もうその店を辞めて何年も経つし、建物自体無いらしいし、その人が今どうしてるか分からないけど幸せに暮らしていてほしいと思う。