長文失礼。
小学生の頃の話。
昼休み、友達みんな集まって体育館でバスケとかしてるのに、俺はいつも図書室で本を読んでた。
図書委員の仕事は放課後だけなので、俺以外誰もいない図書室は静かだった。
けど、ある日校長先生が図書室にやってきた。
度入りサングラスかけた強面だけど、優しくておっとりとした口調の校長先生。
校長先生は休み時間中に教室巡回して生徒のことを色々見ていたらしい。
今まで俺の読書の邪魔をしちゃダメだと思ってそっとしておいたんだけど、俺が友達と遊んでる姿をあんまり見ないから心配になって声をかけたんだって。
何故そうなったかはわすれたけど、それから俺は昼休みに図書室で校長先生のお話しを聞くのが日課になった。
昼休み以外でも会いたくて、朝の会前や放課後に校長室にお邪魔したことも何度かあった。
校長先生は自分の昔話とか、礼儀作法とか、国語算数理科社会の勉強など、ジャンルを問わず色々話してくれた。俺のした質問にもわかりやすく答えてくれた。
「知ること」が好きな俺は、校長先生とお話しできる昼休みの時間が大好きだった。
でも、小4のとき校長先生が転勤になった。
お別れ会の時に便箋10枚分の手紙を渡したら、校長先生も俺に分厚い手紙をくれた。
手紙の最後の方に「これからは校長先生じゃなくて、友達とたくさんお話しするんだよ」と書いてあった。
読んだその日は一日中泣きまくった。
手紙に校長先生がいつもふかしてたパイプの甘い匂いがついてて、寂しくなってさらに泣いた。
でもそれからの俺は図書室に行く回数を減らしてみんなと遊ぶようになった。
俺が中3になった頃、校長は母さんが勤めてる幼稚園に園長として帰ってきた。
家族ぐるみで校長先生夫妻と交流するようになった。
一緒に庭で焼き肉とか、家に遊びに行ったときはトランプや麻雀やったりして楽しかった。昔みたいに色々お話もした。
現在、ベタだけどこの一連の出来事がきっかけで俺は教師になった。
校長先生は園長を辞めて実家の隣町に住んでいる。
今度実家帰ったとき久しぶりに会いに行ってみようかと思う。